★★★★☆
最近、webサイトを作ってみたいと思うようになった。
その関係で、ITに関わる人は絶対に読んでおくべきと言われる本書を読んでみた。
私はエンジニアというものがあまり好きではない。
というのも、大学で情報工学科に所属して、その陰湿な雰囲気が好きになれなかったからだ。
なぜ陰湿だと感じたのか。
それはおそらく、工学部の教授たちが一様に抱える理念のせいだと思う。
「工学部生は全員エンジニアになり、エンジニアは日陰から社会を支え、それを喜びと思うべきだ」
教授たちはこんな理念を持っているように感じる。
そして、それに誇りを持っているのではないか。
もしかしたらそんな理念は持ってないのかもしれないが、少なくとも私はそう感じた。
もちろん社会を影から支えるエンジニアは必要だ。
しかし、情報工学科の学生にはエンジニアになるほかにもう一つ選択肢があるんじゃないか。
それがハッカーになることだと本書を読んで分かった。
ハッカーとは何か。
著者によれば、ハッカーとは画家のようなものであるのだという。
なぜそのように考えられるかという理由は、本書内でたくさん述べられている。
その中で私が最も納得できた理由は、ハッカーはスケッチをするようにコードを書くから画家に似ているというものだ。
情報工学科の教授が学生になることを強要する計算機科学者は、論文を表現の媒体とする。
論文は数式をたくさん羅列し、難しい言葉をこれみよがしに多用する。
私は頭が悪いので、その小難しいのが苦手だ。
工学部に入ったのも、もっとクリエイティブにプログラムを作れると思ったからだ。
しかし、入学して始まったのはただの数学や物理の授業であった。
しかも、それが何の役に立つかも告げられないまま。
そこにはクリエイティブのクの字もなかった。
そして、だんだん、私は何かを作りたいと思うこともなくなり、留年しないように一夜漬けのテスト勉強だけをするようになった。
プログラミングに対しては嫌悪感すら抱くようになった。
なぜなら、私にとってプログラミングは先生に作れと言われた二次関数を出力するだけの苦行だったからだ。
最近までそんな感情を抱いていた私も、本書を読んでプログラミングに関する見方が変わった。
計算機科学者ではなく、画家がスケッチするようにプログラミングをすればいいんだ。
作りたいものを思い浮かべて、スケッチするように作っては直してやっていけばいい。
よく考えると、これは高校生のときに大学でやりたいと思ったことだった。
本当はこんなこと本を読んで気付かされるものではない。
ましてや、工学部の先生が教えるべきだと糾弾することでもない。
やりたいやつは勝手にやってるんだ。
でも、私は一度抱いた嫌悪感にとらわれて、その考えに至ることができなかった。
なので、本書でそれに気づくことができて良かった。
これから、趣味でプログラミングをしていくかは分からない。
でも、少なくとも嫌悪感はちょっとだけなくなったので、webサイトやアプリ作りは勉強してみようかなと思う。
仕事はSEになる予定なので、そこでやるコーディングは好きも嫌いもなくこなすけどね。
プログラミングに何らかの手段で触れたことがある人は読んで損のない本だと思いました。