金言と絶望感 – 堀江貴文『ゼロ』書評

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★★★★☆

私はまだ学生なので働いていない。

そんな私が、「はたらくこと」を説いたこの本の感想を書いて良いものか迷う。
しかし、私もいくつかのバイトや研究を行ってきて、労働の片鱗は見ていると思う。
さらに、氷河期といわれる就活も、去年経験した。
そんな、「もうちょっとで社会人になる学生」が感じたことを書こうと思う。

まず、私はこの本で絶望感を感じた。
ホリエモンこと堀江貴文さんは、紛れも無く能力の高い人間だ。
この本の中で、堀江さんは自身の家庭環境のことを「普通」という。
その上で、堀江さんの生き方が語られる。
これを読んで私は、「僕もみんなと同じ普通の家庭に育ったんだから、僕のやり方を実践すれば成功して自由になれるよ!」と書かれているように感じた。

しかしだ、私は小学校時代に百科事典を丸読みしたこともないし、中学校時代にプログラミングをしたこともないし、高校受験で英単語帳を丸暗記も出来なかったし、東大に受かるような学力もつけられなかった。
私の小中学校のときの記憶なんて、ポケモンやデジモンに興じてた覚えしか無い。(もちろん赤点にならないぐらいのテスト勉強はしてたが)
大学生である今でも、社会で通用するスキルが身につけられているとは思わない。
堀江さんが語るご自身の過去は、正直すごすぎて、自分の過去と比べて絶望感を感じてしまう。
だから、「僕もゼロだから、みんなも同じようにやれば成功するよ!」っていう雰囲気は、懐疑的に感じてしまった。

きっと、この本に書かれている通りに生きても堀江さんのような人生は送れない。

しかし、しかしだ。
じゃあ全くこの本が役に立たないかと言われれば、そうではない。
むしろアクティブな人生を望む人にとって金言とも言えるメソッドが、本のそこら中に散らばっていると思った。
確かに、堀江さんのようにはなれない。
でも、現時点の自分から、ちょっとより良い方向へは行ける。
そのために実践すべき心構えが、この本には書かれている。
それらは、私の今後の人生に影響があるだろうと思った。良い意味で。
私が特に参考になったメソッドは次の3つ。

「あなたが仕事や人生に怖気づく理由は、経験が不足しているから」
「なんとなく面白そうならやってみるノリの良さ」
「遠くを見ず、今日という1日を全力疾走する」

それぞれについての詳細は、ぜひ本書を手にとって読んでいただきたい。
この中でも特に、「今日という1日をなんとか生き抜く」というメソッドは、なるほどと思った。
私は、大きな目標を掲げすぎて、数日たったら挫折することを何度も経験してきた。
その度に、自分はダメな奴だなと感じてきた。
でも実は、それは仕方ないことだったのである。
遠くの目標を掲げ、それだけを道標にすると、人間は気持ちがブレやすい。
そうじゃなく、今日1日だけを見て、なんとか生き抜いたほうが良いんじゃないかと思った。
加えて、本書には書かれていないが、その今日1日でやることはその日やりたいと思った事で良いような気がする。

その上で、遠くの目標も持って、たまに眺めてみるといいのかな。

なんとなく、それが自分に合っている気がする。

文書は、役立つ事も書いてある一方、堀江さんの自慢がちょっと鼻につくところもあり、諸刃の剣といった印象でした。
もしくは毒入りのハチミツか。

でも、その蜜は非常に優秀であり、毒をちょっと浴びてでも手に入れる価値がある。
そんな事を思いました。


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