英国王のスピーチ 感想

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※ネタバレ注意

先日、レ・ミゼラブルを見て非常によかったので、同じトム・フーパー監督の英国王のスピーチを観てみました。

この映画を観て思ったのは、トム・フーパー監督の真骨頂は映像の美しさと洗練されたストーリー構成にあるということです。

映像の美しさに関しては、レ・ミゼラブルと同様にトイカメラで撮ったかのような色彩感があります。
レ・ミゼラブルのようにカラフルな色合いではないものの、落ち着いた色合いでまとめられており、静かに進行するストーリーと非常によく合っていますね。
構図の取り方も申し分なく、どのシーンもパッケージに使っていいと思う程です。
安定感があるので、構図に関して気に留める必要がなく、ストーリーに没頭して見ることができました。

次に、ストーリーの構成に関してですが、観客の感情の動かし方がうまいですね。
というか、まさに映画のお手本というような、王道ストーリーです。
この作品では、英国王であるジョージと言語療法士であるライオネルの関係を中心に描かれますが、初めにこの2人は仲が悪く描かれます。
物語において、絆や愛情が描かれるものは、だいたい良くない出会いから始まります。
このような構成を取る理由は2つあると思います。

1つは、そのほうが観客の心をつかめるからです。
初めに仲が悪い状態から始まることで、観客は不安になります。
なぜなら、大多数の人間はケンカをしたくないし、仲が良い方が良いと思っているからですね。誰かとケンカしてる時はそわそわして、不安になるあの気持です。
観客をその不安な気持ちにさせてから、だんだんと2人の仲が良くなり、絆が生まれてくると、観客はほっとします。
感情がマイナスからプラスへ揺さぶられるこの振り幅があることで、観客は感動するわけですね。

2つ目の理由は、初めに仲を悪く描いたほうがストーリーの波を増やせるからです。
波というのはボクが勝手に呼んでる名前ですが、ストーリーが平坦にだらーっと続くのではなく、良いことも悪いことも起こることで、浮き沈みが生まれる場面の事です。
英国王のスピーチのような、ストーリーがほとんど室内で展開されるような物語の場合、派手なシーンを入れることは難しいです。
そうなると、盛り上がりに欠けてしまい、映画が終わる前に観客は飽きてしまうわけですね。
そうならないために、出来るだけ波を入れる必要があります。
この映画では、序盤のスピーチの失敗や、父親の死、兄のスキャンダル、ライオネルとの喧嘩がその波となっています。
ですが、それでもローテンションが基本となっているこの映画では、観客は飽きてしまう可能性があります。
そこで、初めを悪いところから始めることで、1つ大きな波を増やすことができるわけです。
もし、初めからジョージがライオネルに従順に従っていたとすれば、治療の序盤がぐだぐだになってしまうか、映画の尺が30分短くなっていたんじゃないですかね。

以上がこの映画をボクが良いと思ったところです。
でも、こういう「良い映画」っていうのはやっぱり体力がある時じゃないと厳しいですね。
疲れてる時にはあんまり向かないかもしれません。
今回は比較的ボクに余裕があるときに観れたので、とても面白かったです。

まさに、ハイカルチャー映画という感じでした。
絵画やクラシック音楽と並ぶような、高尚な文化としての映画です。
そういうのも、たまには美しくていいですよ。


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